共有

2016年2月29日月曜日

1039:【小噺】ボクとカミさんのホワァ〜イな話〜誕生日編〜の巻

土曜日の午前中は、試合が組まれている場合を除き、たいていはサッカー少年団の練習がある。

その日も朝の8時半から12時過ぎまで、小学校の校庭で子供らの練習に付き合い、ボール拾いをしたり声掛けをしたりしていた。

予報では午後からという予定だった天候の崩れが少し早まったみたいで、紅白戦を始めた11時過ぎからポツポツと小雨が降り出した。

グラウンド整備もそこそこに急いで片付けをして、子供たちを早めに家に帰すことに。

ボクも長男・長女と一緒に、少し駆け足で帰宅の途についた。

この時期の雨だと、この後雪になる可能性もあるはずなのだが、この日は夜になると温かい南風が吹き荒れるとの予報。

つまり、夜は暴風雨になると。

テレビのお天気お姉さんが、そんなことを言っていたことを思い出す。

午後の予定は特になかったので、夕食の買い出しを早めに済ませて自宅でゆっくり過ごすつもり。

ひとまず、練習で腹が減っていたので、昼飯を食べに自宅に戻った。

カミさんは午後からサッカー少年団の保護者会に出席する予定になっていた。

場所は自宅からは少し離れた市の公民館で行われる。

自転車で行くつもりだったのに雨が降ったせいで歩いて行かなきゃならないと、ブツブツ言っている。

キャプテンの母親=父母の会会長が欠席する訳には行かないので、かなり機嫌が悪い。

しかも、予想に反して、昼飯の用意はなかった。

今日の保護者会で次期キャプテンの母親への引き継ぎかある。その引き継ぎ事項が山のようにあり、その準備でここ数日間はパソコンに向かって資料作りをしていたのを知っている。きっとギリギリまでそれに追われていたのだろう。

ここで文句の一つも言おうもんなら、この場が荒れるのは火を見るよりも明らか。

仕方がないので、子供らを連れて近所のショッピングモールに行き、外食することにした。

これから昼飯の準備をするにしても食材が心許ないというもっともらしい理由を並べておいたが、実のところはボクかただ単に面倒くさいと思ったから。

雨に濡れて身体が冷え切っていたので、先に子供らにシャワーを浴びさせる。

それを待っている間、これから保護者会へと出掛けてしまうカミさんに、晩飯の予定を確認しておいた方が良さそうだ。

午後は自宅でダラダラ過ごしたいボクの意に反して、数々のミッション(家事)が用意されていたらたまらんし、ショッピングモールに行くので、晩飯の食材の買い出しぐらいは積極的に買って出ておいた方が良さそうだと思ったからだ。

そんな作戦を練っているボクの心を読んだかのように、カミさんがボクに話しかける。

「今晩は外で食べるから、買い物とかしなくていいからね。」

えっ?だって夜は暴風雨になるってテレビで言ってたけど、外食するの?

「だって、もうすぐあなたの誕生日でしょ?」

そう、子供の誕生日の場合はもちろん、ケーキを買ってきたりカミさんが腕を振るって料理を作ったりプレゼントを渡したりと、どこのご家庭でも行われるであろうささやかな家族パーティーを行うのだが、大人の誕生日の場合はちょっと違う。

ボクとカミさんの誕生日の場合には、その主役が好きなものを外に食べに行くというのが恒例となっている。もちろんプレゼントなんてものはなし。食べたいものを主張できる、それだけが誕生日を迎えた大人に許される唯一の権利なのだ。

そうか、そういえばもうすぐボクの誕生日か。また一つ歳を取るのかと思うとウンザリするのだが、この誕生日に許される唯一の権利を有効に行使しない手はない。

だが、何も悪天候が予想される日にわざわざ外食しなくても......。

「だって、来週は招待試合があるでしょ。何時に帰って来られるかわからないから、外に食べに行くなら今日しかないのよ。」

ボクと違って、カミさんのやることに抜かりはない。

確かに仰るとおり、これから3月末の卒団に向けて、他のサッカー少年団が主催する複数のカップ戦に招待されている。今日を逃すとボクに許された唯一の権利を使う機会を逃すことにもなりかねない。

そうか、そうしたら何を食べようかな。急に降って湧いた選択権をいかに有効活用するか、ここはひとつ、ジックリと考えてみることにしよう。カミさんが保護者会から帰ってくるまでに決めておけばいいのだろうから。

「えーっとね、今晩はピッツァだから。ほら、駅前にあるサルバトーレ・クオモ、最近あそこに行ってないもんね〜。」

関連ランキング:ピザ | さいたま新都心駅北与野駅

うんうん、そう言えば最近行ってなかったよねぇ......って、

すでに、行く店決まってんの?!

なんか、話が違うんですけど......。

「そうそう、雨だから車で行くから。」

そうだね、外は雨だし、車で行った方がイイかもね。もちろん、運転手はボクで、家族みんなを乗せて行けば.......って、

オレの誕生日祝いなのに、酒飲めないの?!

もちろん、カミさんに車を運転する気はないらしい。

......うーん、まぁ、平日に呑んだくれているから、休肝日にしろって優しさなのかな?

どうなんかな?


予約も何もしていない飛び込みなので、少し早めに行った方がイイとのカミさんのアドバイスにより、18時よりも30分以上前に店に到着したひろ☆さの様ご一行。

当然ながらカミさんの仕切りにて全てがスムーズに進行する。

「席は禁煙席でっ!」

そりゃあ食事に来たんですものね。子供らもいるし、煙モクモクだと美味しくお食事できませんもの......。

「私はグラスのビールでっ!」

そんじゃあボクは車の運転があるから、グレープフルーツジュースにでもしておこうかな、ははははは......。

前菜として、ビールによく合いそうなツマミ系の品を数点と、ボクの好きなシーザーサラダではないイタリアンサラダを注文。

ピッツァは長男の大好物である定番のマルゲリータとカミさんの好きなクアトロフォルマッジ。

パスタはカミさんの好きなイカスミパスタ(生パスタ)と長女の好きな炙りベーコンのカルボナーラ......。

いや、全部ボクの大好物でもあるんだけどね。パスタなんか黒と白でボクの好きなユベントス(bianco nero)を彷彿とさせるし、イイんじゃないかな。

ところで、今日の会の主旨はみなさん覚えていらっしゃるのかしら?

先に出された飲み物(カミさんのビール以外は全てジュース)でボクの誕生日を祝う乾杯をしてくれたので、忘れてるワケではないことは理解してるんだけどね。

多少の疑問がありつつも、次から次へと出される料理に舌鼓を打ち、あっという間にたいらげた。

満足度はかなり高い。相変わらずどの料理も旨いんだな、これが。

さてさて、そうしたら食後のエスプレッソとティラミスなんかも注文しちゃおうかな?

「デザートはここじゃなくて別のところで食べるから、注文しないでね。」

ははぁ〜ん、なるほどなるほど。そこにサプライズ的な何かが隠されているんだな!ふふふ。

会計を済ませて、車を停めてあるコクーンシティまで戻ることに。

買いそびれた物があるとのことで、イトーヨーカドーで明日の食材を買い足した後、1階のレストラン街へとカミさんが先導して導く。

到着したのは、Cold Stone Creameryというアイス屋さん。

ベースとなるアイスクリームとトッピングが数種類ある様々な組み合わせのアイスを選ぶと、陽気な店員さんが歌を歌いながら美味しいアイスを作ってくれるお店だ。

どうやら、本日のデザートはここらしい。

すると、カミさん曰く、

「よかったねぇ〜。お父さんが誕生日祝いのお礼にアイスクリームを奢ってくれるんだって!」










うぉ〜い、いい加減にしろっ!今日はホントにオレの誕生日祝いなんかいっ?!

だいたいオレは、焼肉屋に行きたかったんだよ!

中生2杯くらい呑んだ後にハイボールでさ、肉はそんなに量を食べられないからやっすいヤツじゃなくて特上のカルビとかロースを少量でも良くてさ。

子供らにはお得なファミリーセットでも頼んでしこたま白米食べさせときゃイイんだよ、育ち盛りなんだからさ。

それなのに、それなのに......。

えっ?!お会計?アイス3つで1,650円もすんの?

......はぁ。普通の大きさのアイスを、ワッフルコーンでねぇ......。あら、そうなんですか。

それじゃあ......2,000円で、お釣り下さい。

あ、そんじゃあ、お父さん、ちょっと喫煙所に行ってタバコ吸ってくるわ。

うん、ゆっくり食べてて。うん......。

(おわり)

0 件のコメント:

コメントを投稿